パリ、テキサス

ぱりてきさす|Paris, Texas|----

パリ、テキサス

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レビューの数

105

平均評点

79.7(714人)

観たひと

1077

観たいひと

92

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 西ドイツ フランス
製作年 1984
公開年月日 1985/9/7
上映時間 147分
製作会社 ロード・ムーヴィー・フィルム=アルゴス・フィルム
配給 フランス映画社
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

テキサスを舞台にひとり放浪していた男が妻子と再会するがまた再び去ってゆく姿を描く。製作はクリス・ジーヴァニッヒ、エグゼクティヴ・プロデューサーはアナトール・ドーマン、監督は「ことの次第」のヴィム・ヴェンダース、脚本は「カントリー」等で役者として知られるサム・シェパード、脚色はL・M・キット・カーソン、撮影はロビー・ミュラー、音楽はライ・クーダー、編集はペーター・プルツィゴッダが担当。出演はハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキーなど。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

テキサスの原野。一人の男(ハリー・ディーン・スタントン)が思いつめたように歩いている。彼はガソリン・スタンドに入り、水を飲むと、そのまま倒れた。病院にかつぎこまれた彼は、身分証明もなく、医者(ベルンハルト・ヴィッキ)は一枚の名刺から男の弟ウォルト(ディーン・ストックウェル)に電話することができた。男はトラヴィスといい、4年前に失踪したままになっていたのだ。病院から逃げ出したトラヴィスをウォルトが追うが、トラヴィスは記憶を喪失している様子だった。トラヴィスは口をきかず飛行機に乗ることも拒む。車の中でウォルトは、さりげなく、妻ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)のこと、ウォルトと妻のアン(オーロール・クレマン)が預かっている息子ハンター(ハンター・カーソン)のことを聞くが、何も答えない。ただ、〈パリ、テキサス〉という、自分がかつて買った地所のことを呟いた。そこは、砂しかないテキサスの荒地だが、父と母が初めて愛をかわした所だとトラヴィスは説明した。ロサンゼルスのウォルト家に着いたトラヴィスを、アンと7歳に成長したハンターが迎えた。ハンターとトラヴィスの再会はぎこちなく、お互いのわだかまりが感じられた。しかし、数日経つうちにうちとけだした二人。彼らに複雑な思いを感じるウォルトとアン。実の息子同然にこれまで育ててきたのだから……。トラヴィスの記憶が戻るようになりはじめたある日、5年前に撮った8ミリ映画をみなで見た。幸福そのものだった自分の家庭のフィルムを見て、必死に何かをこらえるトラヴィス。父親らしい服装でハンターを迎えに学校へ行ったトラヴィスはその日の夜、ジェーンがヒューストンの銀行から毎月ハンターのためにわずかながら送金を続けていることを、アンから聞いた。トラヴィスは、中古のフォード・ランチェロ58を買い、ハンターにジェーンを探しに行くと告げた。それを聞いて、ハンターは自分も行きたいと言い、そのまま共にヒューストンに旅立った。ヒューストンの銀行からジェーンらしき人物が乗った赤い車が出てゆくのを見た二人は車を追って、ある不思議な建物に辿りつき、ハンターを車に残して、トラヴィスは建物の中に入った。そこはキー・ホール・クラブで、階下の個室は、客の側からだけ、ブースの中の女の姿が見えるマジック・ミラーを設けた一種のピープ・ショーになっていた。ジェーンを指名して部屋に入ったトラヴィスに、客の姿が見えないジェーンが話しかけるが、トラヴィスは何も告げずに出て行った。ヒューストンを離れ、途中のさびれた町で酒をのみながら、ハンターに自分の母のことを話すトラヴィス。翌日、もう一度ジェーンに会う決心をしたトラヴィスは、ハンターに別れのメッセージを残してキー・ホール・クラブへやって来た。再びジェーンを指名し、自分の気持ちを語るトラヴィス。やがて、姿を見なくてもそれがトラヴィスであることを知ったジェーンも、涙ながらに、自分の気持ちを語った。最後に、ハンターのいるホテルのルーム・ナンバーを告げて、トラヴィスは去った。ホテルで一人でいるハンターの前に、ジェーンが現われた。二人が寄りそう影を窓に確認すると、トラヴィスは車でその場を去るのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2024年6月号

COMING Old Pictures 旧作紹介:「パリ、テキサス」

1985年12月上旬号

外国映画紹介:パリ、テキサス

1985年10月下旬号

ザ・セレクション:パリ、テキサス

1985年9月下旬号

特別インタビュー :「パリ、テキサス」ヴィム・ベンダース監督

1985年9月上旬号

グラビア:パリ、テキサス

特集 パリ、テキサス ヴィム・ヴェンダーズ監督作品:作品評

特集 パリ、テキサス ヴィム・ヴェンダース監督作品:「パリ、テキサス」まで

特集 パリ、テキサス ヴィム・ヴェンダース監督作品:プロファイル&フィルモグラフィ

特集 パリ、テキサス ヴィム・ヴェンダース監督作品:ロング・ストーリー

2025/09/14

2025/09/15

80点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 
字幕


果てしない砂漠を彷徨い歩く赤い帽子の男、その乾いた心の内を表現する様なライ・クーダーのスライド。このオープニングだけでもうこの映画の魅力にどっぷりハマる。赤い車、赤い電話、赤い服、赤が挿し色に使われているのは小津の影響か。終盤になってやっと登場するナスターシャ・キンスキーの息を飲む美しさ。だからこそマジックミラー越しに背を向けざるを得ないトラヴィスの気持ちがよくわかる。しかし、この展開は弟夫婦が不憫でならないなぁ。

2025/06/07

2025/06/08

78点

その他/録画BSプレミアム 
字幕

  覗き部屋の鏡の前でジェーンが分かっていくのが、やはり圧巻。
  ハンターが、育ての夫婦とあっさり離れてしまうのがおかしいが、父が自分の傷と向き合っていくのと、母子の絆の回復の寓話なんだろうと思う。

2025/03/14

2025/03/18

40点

テレビ/無料放送 
字幕


う~ん

ネタバレ

タイトルは、知ってる人は知ってる有名な作品。ナスターシャ・キンスキーが振り向いたポスターも覚えているが、見たかどうかが記憶にない。当然内容もわからない。
珍しくテレビ放送があったので見る。
淡々と進むストーリーが退屈。
ラストも弟夫婦には気の毒。果たしてあの母親に子供を育てる経済力があるのか?子供はそれで幸せなのか?疑問が残っちゃいました。

2025/03/09

2025/03/09

90点

選択しない 


言葉は無くとも伝わるもの

トラヴィスは前半全く言葉を発せず、後半も必要最低限にしか話さない。
ただ彼の佇まい、表情から様々な感情が読み取れて非常に面白かった。
セリフでなんでも説明してくれるのは有り難い。ただこういった雰囲気から物語を読み解く事の魅力も再認識させられた。

2025/02/08

2025/02/09

85点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


宇宙との交信と光の速度

赤い光が強く感じられ,その奥に青い光が感じられる.それでも冒頭は 岩だらけの荒野の空撮から入っていく.青空は広がる.ワシだろうか,タカだろうか,猛禽類がとらえられる.あるいは,その眼光に人物は晒されている.赤い帽子,ひげづらでポリタンクを持ってその空間を放浪し,ネクタイとスーツを着用した男がトラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)である.
カメラのズームや移動を超え,彼は歩いているように見えるが,ちょっとこけたりもする.氷をかじって倒れ,ヌード写真もそこにはチラついている.テキサス州の病院に収容されているが,彼の弟のウォルト(ディーン・ストックウェル)が失踪していた彼を引き取る.
巨大な広告看板が見える.黄色い帽子をウォルトは被って、携帯電話でビジネスをしている.キャメラの動きはこの兄弟に同調していくかに見える.トラヴィスはしゃべらずに歩き,脇目もふらず歩いている.その方向には電線が伸びていることもある.開かれた助手席ではなく,後部座席に乗る兄がおり,乗り込んだ瞬間,車は大きく揺れる.
赤いシーツが見える.線路上を歩いていることもある.不思議な音が聞こえ,歌うようにしてしゃべることもあり,音楽がどこか優しい.車載のキャメラがワイパーによって瞬間的に遮られている.トラヴィスは異様にニコニコしているように見える.彼は飛行機に乗れないらしい.1枚の写真を手にしており,こうしたテキサスの人物たちは,「その後の」西部劇という観もある.
4年は長いか,8歳の子の人生の半分ではある.舞台はロサンゼルスに移されている.視線がまず先に現れているようにも見える.足元のローポジションから入るシーンもある.飛行機の音がいつも聞こえている.写真やゲームが家庭にはあり,歌を歌いながら洗い物する姿も見える.磨いた靴が並べられており,ハイウェイには,車が走っており,草が揺れている.双眼鏡でそうした風景を覗いているトラヴィスは宇宙人のようでもある.飛行機の影を追ってもいるらしく,時にアメリカの国旗が見える.
坂道がその街にはあり,その展望地にウォルトの家は新築されている.8ミリ映画が家庭で上映される.子のハンター(ハンター・カーソン)は恥ずかしいのか水槽の中の魚を眺めている.テキサスの海岸が見えている.フィルムの回転音が聞こえてくる.車道を挟んで息子と実の父は歩き始める.
ハイウェイを渡るとき,謎の悲しげな演説をしている男がおり,少しの接触をしてトラヴィスは進む.彼は,捜し始めている.赤いシャツを着ている.遠くには山並みが見え,近くにはジャンクションが見え,その下で小さな食事がなされる.宇宙センターのあるヒューストンへと舞台は映っていく.双眼鏡が携えられる.スター・ウォーズのプリントされた,ハンターの寝具が残されている.光の速さについて,ハンターの演説がある.無線から聞こえる声は電波のようで,宇宙的でもある.貴婦人がマジックミラー越しにいて,その姿を見ることができる.妄想は信じられている.

2025/02/05

2025/02/05

87点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕

備忘メモ:
そんなに大きな動きは無いし、サプライズの無いのに、2時間30分ほどの上映時間ずっと、この雰囲気に包まれていたい気分のなるのは何故だろう。もちろん、辛い物語なので、心地よい気分ではない。でも、何故か心の琴線なのか深層にす~っと触れてくる感覚があり、「落ち込んでいる時は、泣ける曲を聴くと癒される」様な感じで癒された。一応書いておくが、現在私は落ち込んでいない。ただ、娘が4歳なので、ちょうどトラビス(ハリー・ディーン・スタントン)が息子のハンター(ハンター・カーソン)を捨てた時の息子の年齢だった、というのも私には涙腺を緩くする要因かも。ちなみに号泣はしなかった、ただ、じ~んと染み込んできた、何処かに、心に。
ロードムービーは、その車中で人と人の交流が生まれる。国土が広いアメリカで、お金が無い人達のドラマには格好の舞台だ。最初は、ウォルト(ディーン・ストックウェル)とトラビスの兄弟、後半はトラビスと息子。

やはり圧巻は、トラビスとジェーンのテレクラでのシーン。ショットが素晴らしい。特に2回目の会話。前半はトラビスが話す時、後半はジェーンが話す時、それぞれのショットが良い。

何故トラビスは去ったのだろう?私なら一緒にやり直すことを選択する気がする、あくまで頭で考えただけだが、、、まだ自信が持てなかった、、、いつになったら?、、、それが分からない。そう言えば、「スモーク」のフォーレスト・ウィッテカも同様だった。もっと心情を深堀してみたい。

登場人物の視点で、レビュー書く。トラビス、ウォルト、妻のアン、息子のハンター、そして母のジェーン(ナスターシャ・キンスキー)。

ライ・クーダー良い