本作は、高評価作品だが、鑑賞タイミングを見逃した作品だった。ようやく、先日のTV放映時の録画を再生鑑賞した。
本作の舞台は、1940年代~60年代のショーシャンク刑務所。無実の罪で終身刑となった元銀行の副頭取・アンディ(ティム・ロビンス)は、この刑務所に収監される。ここで理不尽極まりない非人道的な仕打ちを受けながらも、次第に囚人たちと打ち解け、何でも調達してくれるレッド(モーガン・フリーマン)と友人になる。そして、ふとした切っ掛けで、銀行でのスキルを活かして看守、刑務所長と親密になっていくが、彼は脱獄を計画し、数十年を費やして遂行していく・・・。
本作は、二面性を持っている。表は、刑務所での二人の囚人・アンディとレッドの友情物語を中心にした群像劇である。裏は、脱獄計画である。無実の罪を背負って刑務所で生涯を終えたくない。自由になりたいという強い執念を感じる。正しく“為せば成る”である。
緻密なストーリー展開、出演者の演技は、非の打ち所がない。完璧である。故に、淡々としたストーリー展開だが、胸が熱くなるシーンは多い。しかし、物足りなさを感じる。
何故か。言語表現主体のシーンが多いからだと推察する。本作は、計算され尽した緻密なストーリー展開で、適材適所に巧みに布石を打っている。それを台詞、ナレーションという言語表現で丁寧に説明しているので、目を閉じても理解できるくらいだ。映像表現主体なのは、暴力シーン、脱獄決行シーン、ラストシーンくらいである。
映画は映像表現と言語表現が合体したものであり、視覚と聴覚で楽しむものである。言語表現主体のシーンが多く、目を閉じても作品を理解できるくらいになると、映像表現は活きてこない。映像表現と言語表現のバランスが取れている作品は、観客の視覚と聴覚を刺激するので観客は強く感動する。本作は、名作であることに揺るぎないが、映画における映像表現と言語表現の在り方について考えさせられる作品である。