何とも言えず、しみじみする作品。
主人公のスティーブンス(アンソニー・ホプキンス)は、執事という仕事柄か、それに徹しようとすればする程、執事頭として絶大の信頼を得るが、自分が思いを寄せて行った人(ミス・ケントン:エマ・トンプソン)に気持ちが言えなくなって行く。
また、自分が仕える主人(ダーリントン卿:ジェームズ・フォックス)のことを忠実に思うあまり、仕事以外のことには耳を傾けず、ダーリントン卿がナチスに加担してしまうことにも疑問を抱けない。
ミスケントンへの想いを封印し、再会する場面の嬉しさと空虚感、ダーリントン卿が失意のまま亡くなったことへの後悔の念を、アンソニー・ホプキンスが絶妙に演じていた。
女中頭のミス・ケントンのエマ・トンプソンも、スティーブンスに気持ちを伝えても答えてくれない、その辛さが痛い程伝わった。
最初観た時は、歯がゆくてイライラした。しかし、今回は、彼が仕事に徹することは出来たが、それと同時に彼のようなこういう辛い人生もあるのかもしれない、と思った。