とかく事業家というものは息子とあまり年の違いはない若い細君を持つものである。御多分に洩れずフォードも若い細君を持って息子のトムから軽蔑されていた。親爺と息子は従って毎日事務所でけんかの種がつきなかった。息子のトムは秘書のイーヴ・グラントと公然と愛を囁いて親爺に対抗した。さてエド・マックという第一の顧客がシカゴから御来館、歓迎法として方々へ引っ張り回そうと考えついたフォードはまず細君を田舎へ出しイーブを拝み倒して御相手にする。ところがマックにはまたとてつもない嫉妬屋の女房がついていた。この女のためにフォードはイーヴを自分の細君だと言ってしまった。だがマック婦人の嫉妬から酒宴の関が面白くゆかないのでフォードはやむなく息子に応援を求めた。息子は役人になりすまして席へ乗り込み禁酒法違反だとおどかして一同を家へ連れ戻した。さてそうはしたものの、息子のトムは親爺の夫人になっているイーヴが心配でならない。マック夫人はマック夫人で良人の素振りに安心が出来ないという始末、そこへ加えて田舎にやって置いたフォード夫人が俄かの御来館。ここにまたまた大混乱の珍騒動が持ち上がる。