世界大戦の勃発と共に、ユーゲニー大候は1青年の身を以て国民の信望を得、総司令官として出征し、殊勲を立てた。しかるに本国にあるタナロフ将軍はユーゲニーの名望を妬み、讒訴して彼を失脚せしめた。帰国と共にユーゲニーはタナロフ将軍が想いを寄せているヴァルヴァラ姫と婚約を強いられた。ユーゲニーはヴァルヴァラに対し愛情を感じなかったが、これがまた少なからずタナロフの感情を損ね、再びユーゲニーはオレンバークの村へ左遷されてしまった。オレンバークの森の小屋に淋しく暮している中にユーゲニーは、イワンという男と愛のない結婚を強いられていたタシアという娘に同情したが、これが時経つにつれて恋に変り、ユーゲニーとタシアとは熱烈な恋を語る身となった。タシアの父は憂国の志士であったがタナロフのために獄に投ぜられ程なく牢死した。タナロフはこの事実を巧みに利用しタシアに父の仇はユーゲニーであると告げたので、タシアはユーゲニーとヴァルヴァラとの結婚の式場に乗り込み、ユーゲニーを狙撃したが、果さず、2人はまた別れ別れとなってしまった。幾年かの後、タシアは今は世界的の名ダンサーとして知られる身となり、イワンは又出世して将校となっていた。タナロフとイワンとはタシアを恋したが、ユーゲニーがタシアの恋人であると知ってタナロフはイワンに命じユーゲニーを殺さしめんと計ったが、イワンはタナロフの悪計を知りその裏を掻き、己れの恋を捨ててユーゲニーとタシアとを助けて外国に逃れしめた。