映画俳優(W・フリッチ)と演出家と作家の三人が、次にとりかかる映画の構想を練っているときのことであった。かれらの許に作家の知人であるマルチン・デリウス(H・シェンカー)とその年若い妻クリスチィネ(H・クネフ)が訪れてきた。演出家と俳優はこの夫婦がどうして結ばれたかに興味を持ち、作家にききただした。--マルチンはアンゲリイカ(I・V・マイエンドルフ)という功利的な女性とともに美術商を営んでいた。度重なる空襲でかれらの住む家はほとんど人々が去り、マルチンが好意を持っている小間使のクリスチイネが世話をしていた。ある空襲の夜、家の大部分が破壊され、マルチンとクリスチイネは偶然のめぐり合いから結ばれた。だがマルチンの周囲の人々が二人の関係を白眼視したので、クリスチイネは一人田舎の実家へ帰って行った。戦争が終り、従軍し捕虜となっていたマルチンは釈放されてクリスチイネの父の農場を訪れた。引きとめられて滞在し、クリスチイネに結婚を申込むが父に反対され、アンゲリイカが戦後再びハノオヴァで美術商を開いているので、そこへ身を寄せた。しかしマルチンは独立した生活をたてるために家具の設計をはじめ、田舎から出て来たクリスチイネと結ばれた。--話が終って三人は、面白い話だが映画にはならない。第一題名をなんとつけたらよいか……と議論をつづけるのだった。