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アハーン
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最後は涙が止まらなかった。アハーンの笑顔、決意、そして彼の周囲にいる人々の人生の輝き。そのすべてがラストの一瞬に集約され、胸を打つ。 冒頭の足元から映るシーンを思い返すと、あのラストに向けて一直線に進んでいたことがわかる。母親が作ったクッキーを届けるアハーンの行き先は、超潔癖症のトレーダーの家。アハーンはその家の主の靴を履き、スーツを着て鏡に映る自分をじっと見つめる。 妻に逃げられた潔癖症の主人公を励ますアハーンが、最後には逆に励まされる展開も微笑ましく、ドラマとしての完成度は非常に高い。 特に印象的なのは、アハーンが父親から信頼されていないことだ。どんなに説得しても息子を理解しない父親は、旧約聖書の「カインとアベル」を思わせる。それでも純粋なアハーンは、自分の力で仕事を見つけたいと家出を決意する。 これはまさに自立の映画だ。潔癖症の男性も、妻から自立することで関係を取り戻す。アハーンの両親も、ダウン症の子どもを過小評価しつつも最後には子離れする。そしてアハーン自身も自立していく。 ラスト、アハーンは「10年後に何になりたい?」と聞かれ、「アハーン」と笑顔で答える。その瞬間は、永遠に心に残る。 悲しい結末の『チョコレート・ドーナツ』とは違い、『ライド・ライク・ア・ガール』、ダウン症の話しではないが『37セカンズ』のように、希望と未来を感じさせる映画。観たあともずっと、心の中に輝きが残る傑作だ。
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