滋賀県甲賀市にある障害者施設「やまなみ工房」は、独創的なアート作品を生み出し続ける施設として、いま世界的な注目を集めている。ここでは、現在88名の通所者がそれぞれ独自のスタイルで表現活動を行っている。寝転びながら割り箸と墨汁だけで大胆な人物画を描く人。目、目、鼻、口……と呪文のように唱えながら土の塊に無数の穴を開ける人。粘土の一粒一粒に恋慕の念をこめて“すきなひと”の姿を形に留める人……。作品がいつ完成するのか、それは彼ら自身にもわからない。作品が誰にどう評価されるのか、彼らはまるで関心がない。ただ衝動のままに創作し続ける彼らの姿がそこにある。そして、その作品は彼らと他者との確かな結節点となっている。アウトサイダーアートに造詣の深いジャーナリストや美術関係者へのインタビューを交え、最前衛のアーティストたちが語る“精神状態と創作の関係性”など、彼らの切実なる表現欲求の根源を探る。