零下40度、時速250kmにもなるブリザードが吹き荒れる南極で暮らし、世界でもっとも過酷な子育てをする鳥、皇帝ペンギン。天敵を避けるために繁殖期になると海から100kmも内陸のオアモック(氷丘のオアシス)へ向かい、そこで産卵する。母ペンギンは大切な卵を父ペンギンに渡し、海へ。母ペンギンが戻るまでの約120日間、絶食状態で卵を温め、孵化したヒナを守る父ペンギン。中には抱卵に失敗するものも、ヒナが天敵に襲われてしまうものも。集団の中でも最長老にあたり子育ての大ベテランである40歳の父ペンギンは、無事にヒナを母ペンギンに受け渡せた。営巣地オアモックと海との長い距離を往復し、食欲旺盛なヒナを育てていく両親たち。やがて夏が近づき、ヒナと両親の別れの時がやってくる。そしてヒナ特有の灰色の羽毛が抜け始める頃、ヒナたちは何かに導かれるように歩き出す。厳しい旅の果てにたどり着いた先とは……。