南洋サモア島のサフネ村にルペンガという家柄の良い原住民があってモアナとペアという二人の息子があります。ペアはまだ子供ですがモアナは立派な若者でファアンガセという村一番の娘と婚約の仲なのであります。彼等は一種の里芋を常食としていて今日しもルペンガ一家は芋採りにいき帰途野獣の通る道に罠をかけました。間もなく罠には野猪がかかったのでモアナ親子は生け捕りにして帰りました。珊瑚礁の岸に押し寄せる波間には魚や貝や海草や蟹や海老がいるので彼等は独木舟に乗ってそれらを採集に出ました。家では母親が桑の木の皮をはいで叩き延ばして布を作り日檀の実の殻のコップや里芋の葉に入れて焼いたり煮たりされます。モアナとファンガセとは結婚前の塗油式を行って婚約者同志の踊りを踊ります。モアナは成人式の文身をして貰っていよいよ結婚式を挙げる用意が出来ます。