エストニア。結婚と離婚を経験、子育てと母の看病に追われながら既に人生も半ばを過ぎてしまったアンヌ(ライネ・マギ)に、ついに母を看取る日が訪れる。抜け殻のようになったアンヌであったが、ある日、パリで家政婦として働く仕事が舞い込んできた。悲しみを振り切るように、憧れのパリへ旅立つアンヌ。そんな彼女を待ち受けていたのは、高級アパルトマンに独りで暮らす毒舌で気難しい老婦人フリーダ(ジャンヌ・モロー)だった。しかし、フリーダはおいしいクロワッサンの買い方も知らないアンヌを冷たく追い返そうとする。結局アンヌを雇ったのは、近くでカフェを経営するステファン(パトリック・ピノー)で、フリーダは家政婦など求めてはいなかったのだ。だが、昔エストニアから出てきたフリーダはアンヌにかつての自分を重ね、少しずつ心を開き、アンヌにパリジェンヌの暮らし方を教えるのだった。そんな中、アンヌはある新聞記事を見つけ、フリーダの孤独な生活の秘密を知ることになるが……。