千葉県浦安市に住む中学生の永江開(高杉真宙)は、将来を有望視されているバイオリニストの卵。音楽教室の千尋先生(田中美里)からは「自分の音を早く見つけなさい」と言われている。だが彼は一向に音楽に集中出来ずにいた。永江家は、父・直樹(細川茂樹)がピアノ、母・ひろみ(鶴田真由)がチェロ、そして姉・美咲(剛力彩芽)はフルートを演奏する音楽一家だった。しかし、音大在学中に学生結婚した直樹とひろみは、生活のために音楽家の道を諦め、高校生の美咲は才能溢れる弟へのコンプレックスと自分を認めてくれない両親に反発し、音楽を投げ出してすっかりドロップアウト気味。音楽一家というのも遥か昔の話だ。更に追い打ちをかけるように直樹が会社をリストラされたことで、永江家は崩壊寸前。今はひろみが浦安の魚市場で働き、直樹は主夫として家庭に入っているが、立場の弱い直樹は家族をまとめることが出来ず、4人の関係は以前にも増して不協和音が鳴り響いていた。そんなある日、中学校から帰宅した開はピアノの音に気付き、そっと音のする方へ向かうと、埃をかぶったピアノの前で昔の家族写真をじっと見つめる直樹がいた。父の寂しそうな姿を見て、開は決心をする。今は家族が一つになることこそが大切。それには、家族カルテットを結成し、もう一度皆で演奏するしかない。壊れかけた家族が再び元に戻るためだけではなく、自分の未来のためにもと奮闘する開。だが事はそう簡単に進まない。何度も繰り返される必死な開の説得に、家族が次第に心を開き始めた矢先、ひろみの大学時代の友人で直樹のかつてのライバル、北原隆(東幹久)がひろみの元を訪れる。北原は世界的な指揮者、秋山和慶のコンサートのプロデューサーになっていた。そして開の演奏を聴いた北原は、ひろみにある提案を持ちかける。果たして、家族は再びカルテットを組むことが出来るのだろうか……。