ある冬の日、父親が営む葬儀社で働くジス(ハ・ジウォン)は、唯一の肉親である母親を亡くした車椅子の青年ジョンウ(キム・ミョンミン)と出会う。幼なじみの2人は再会を喜び、ジスは離婚して出戻りの身であること、ジョンウは治療法の確立されていないALSという難病に冒されていることを互いに打ち明ける。他愛のない会話の後、ジョンウから交際を求められたジスは、彼の優しさに引かれ、その申し出を受ける。そしてある夜、2人は過酷なリハビリの帰りに初めて愛を交わす。一年後の冬、2人だけの結婚式を挙げるジョンウとジス。新婚旅行の予定もなかったが、この上ない幸せを感じていた。だが春になると、ジスの勧めで鍼治療院を訪れたジョンウの容態が急変。医師から“もう動けないかもしれない”と告げられたジスはショックを受ける。6人部屋に入院したジョンウを、献身的に支えるジス。だが、症状はじわじわと進行、痩せ細っていくジョンウは次第に弱音を吐き、ジスにきつい言葉を浴びせるようになる。それでも、それが看護から自分を解放しようとするジョンウの優しさだと気付いたジスは、健気に看護を続ける。息苦しさから、一時2人は距離を置くが、脳裏に浮かぶのはお互いのことだった。孤独に耐えかねたジョンウは自殺を図る。だが、それは未遂に終わり、意識を取り戻した彼が目にしたのはジスの眩しい笑顔だった。それまで以上に看護に熱意を注ぐジス。だが、ジョンウはさらに衰弱してゆく。やがて、話すこともままならなくなるが、2人の気持ちは通じ合っていた。ある夜、病室で歌うジスの姿を目にしたジョンウは、心の中で彼女への愛を呟き、大粒の涙とともに目を閉じる。“逝かないで。”ジスの願いもむなしく、安らかに息を引き取るジョンウ。数日後、柔らかな光が差し込む葬儀社の一室。穏やかなジョンウの顔を見つめるジスの目に、涙はなかった。そして、そっと最後の抱擁を交わすのだった。