2006 年。フィリピンの貧困の現実と向き合おうと、四ノ宮浩は自らの作品の原点であるマニラを再び訪れる。そこで目にしたのは、商店街の軒下で寝転ぶホームレスの家族や、街中でゴミを漁る子供たち。初めてフィリピンにやってきた20 年前となんら変わらない貧しい人々の姿だった。だが、1995 年11 月に政府によって閉鎖された、マニラ近郊の巨大なゴミ捨て場の街“スモーキーマウンテン”周辺だけはどこか整然としており、“変わった”印象を受ける。かつてスモーキーマウンテンには、40年以上にわたりゴミを拾い、転売して暮らす人々がいた。その数は2万人を越える。しかし、世界から貧困の象徴として注目されたことで、政府は1995年に街を突如閉鎖。生活の場を奪われた人々に対し仮設住宅が用意されたが、住民の9割は仕事が見つからないまま。そのほとんどが、現在も近隣にできた新しいゴミ捨て場で以前と同じゴミ拾いを続けている。そんな状況を目にして、四ノ宮は、かつて撮影を通して出会った子供たちのその後が気になってくる。こうして彼は、第1作「忘れられた子供たち スカベンジャー」を通して出会った登場人物ひとりひとりを訪ねる旅に出る。