中国内モンゴル自治区西北部の草原に、トゥヤー(ユー・ナン)の一家は暮らしている。夫のバータルは、水を汲むために井戸を掘っていたところでダイナマイト事故にあい、下半身不随になってしまう。バータル(バータル)が働けなくなり、トゥヤーは幼い2人の子供を抱えながら、家族を養うための重荷を背負いはじめる。雨量が少なくなったことにより砂漠化していく草原は、トゥヤーの厳しい生活に追い打ちをかけていた。羊の群れをより遠い場所で放牧しなければならなくなり、10キロ以上離れた場所へ水を汲みに行き、家畜の世話をするのがトゥヤーの日課となった。凛として働くトゥヤーでさえ、その重荷に耐えられなくなっていた。妻の苦難を見ていたバータルは、生きていくために、離婚に同意するようトゥヤーを説得する。悲しみと憤りを感じながらも、家族のために、生きていくために、離婚するより仕方ない。そこでトゥヤーは、新しく見つける夫は障害を負ったバータルとも一緒に生活し養ってくれる人に限るという条件付きで、バータルとの離婚を決め裁判所に届け出る。離婚を認められたトゥヤーのもとには、結婚を求める男性が次から次へと現れはじめる。その中には、学生時代にトゥヤーを気に入っていた元クラスメートのボロルがいた。ボロルには、トゥヤーと子供たちに裕福な生活を与えることはできたのだが、バータルと一緒に生活するという条件をのむことができなかった。そこでボロルは、バータルを介護してくれる施設を手配し、トゥヤーと子供たちとの生活を手に入れる。一方、草原を離れて孤独になったバータルは、家族に対する強い愛情から自殺を図ってしまう。トゥヤーはそんなバータルを見捨てることができず、結局ボロルと別れる。そんな時、トゥヤー家におこったすべてをみていた隣人・センゲーがトゥヤーに結婚を申し込む。彼は、トゥヤー家全員を愛し、バータルの存在も心から受け入れる。そして、結婚式。みなに祝福されるはずのその日、どんな苦難にも立ち向かってきたトゥヤーは、初めて涙を流すのだった……。