国立孤児院に預けられている詩人を夢見る少年クンデル(ピョトル・ヤギェルスキ)は、孤独な生活を送っていた。反抗的な態度に先生たちはてこずり、友達もできない。意を決して母親の元へ帰ることにしたクンデルは孤児院を脱走する。列車に乗り、家へ戻ったクンデルは、ベッドで寝ている母親(エディタ・ユゴフスカ)の布団を引き剥がす。そこには知らない男がいた。母親は久しぶりの再会を喜びながらも、男の愛がなければ生きていけないと、町の男たちとの乱れた生活をやめない。嫌悪したクンデルは、一人で生きていく決意を持ち、町の川べりに打ち捨てられた艀舟に住み着く。船の中にはたくさんの空き缶があり、さらに時々誰かが捨てていく。クンデルはその空き缶を鉄くず屋に持っていき換金して生活をはじめる。町の大人の同情的なまなざしにも、クンデルは頑としてほどこしを受けようとはしない。嬉しそうに騒いでいる母親の姿を見ながら、孤独を深めるクンデル。ある日、艀舟に酒の匂いをぷんぷんにさせた少女(アグニェシカ・ナゴジツカ)が現れる。少女は艀舟のそばにある裕福な家の子であったが、美しく賢い姉に対する劣等感や誰にも愛されないという思いをアルコールで紛らわせて暮らしていた。寂しさを共有するふたりはお互いを気づかい、絆を深めていく。そんなふたりの関係を、少女の姉は気付いていたが、見て見ぬふりをしていた。町の不良少年が艀舟にやってきたことをきっかけに、クンデルは少女に町を出て行かないかと話すが、少女は返答を濁す。母親に町を出ることを告げに行くが、クンデルよりも男が来ないことを心配している母親は「二度とここに来ないで」とも言い放つ。更なる母親からの拒絶を受けたクンデルは自殺しようと川に身を投げるが、死ぬことは叶わない。ずぶ濡れで艀舟にいたクンデルに、少女はこの町から出て行く約束をする。しかしその約束も、彼女の姉によって阻まれてしまう……。