三度目の自殺未遂を起こしたユジョン(イ・ナヨン)は、ある日、シスターの伯母に連れられ、刑務所へとやってくる。昔、歌手をしていたユジョンの歌を、聴きたがっている男がいるというのだ。刑務所の面会部屋にいた男に、ユジョンは不快な印象を受ける。その男の名は、ユンス(カン・ドンウォン)。三人の人間を殺した死刑囚だ。ユンスの弟は、ユジョンの歌を聴きながら死んでいったのである。ユンスを見据えて、問いつめるように話すユジョンの姿は、ユンスの興味を惹く。それまでユンスの元を訪れる面会人は、同情の視線を送るばかりだった。だが、ユジョンは違う。ユンスは、ユジョンと自分がどこか似ていると感じる。こうして二人は、毎週一度、木曜日の十時からのわずかな時間に、会話を重ねていった。ユジョンも、だんだんと心を開き、二人はそれぞれ心に秘めた秘密を告白する。それは、二人が生きる希望を失った理由だった。お互いに傷を見せ合い、慰め合ったことで二人の間には、愛と、生きることへの希望が生まれる。いつしか、週に一回の面会が二人にとって最も幸せな時間となり、死を求める心はあとかたもなく消え去った。この幸せな時間が少しでも長く続けばいい……。しかし、その願いは、叶うはずもなく、残された時間はわずかしかなかった。