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ターネーション

  • たーねーしょん
  • Tarnation
  • Tarnation
  • 平均評点

    62.1点(13人)

  • 観たひと

    24

  • 観たいひと

    9

  • レビューの数

    1

基本情報

ジャンル ドキュメンタリー / 伝記
製作国 アメリカ
製作年 2004
公開年月日 2005/8/6
上映時間 92分
製作会社
配給 日本ヘラルド映画
レイティング
アスペクト比
カラー/サイズ カラー
メディアタイプ
音声
上映フォーマット

スタッフ

キャスト

解説

かつてはモデルとして美しさを誇った母が精神病に苦しむ現状、家を捨てた父、幼い頃に受けた虐待の記憶、ゲイであるセクシャリティ、アメリカの家族のあり方…。31歳の無名の俳優ジョナサン・カウエットが、母と自分の関係に自らカメラを回した自伝ドキュメンタリー。11才の頃から撮りためた膨大なフォト・コレクションや映像を、iMovieでわずか218ドル(約2万円)という超低予算で編集。ジョン・キャメロン・ミッチェルのオーディション用に送ったビデオから、ミッチェルとガス・ヴァン・サントに見出されて完成に至ったという逸話を持つ。

あらすじ

ジョナサンの人生は、彼が生まれる前から既に始まっていた。1951年に結婚し、テキサス州南東部に位置するヒューストン郊外で、いわゆる中産階級の暮らしを謳歌していた彼の祖父母アドルフとローズマリーは、1人娘レニーを授かる。レニーはその美しさ、愛らしさからたまたまその地に訪れていたフォトグラファーに見出され、モデルとして活躍する。そして、ジョナサンの父親との運命的な出会い。2人は結婚。しかし、いつの間にか精神病という暗い影がレニーに忍び寄る。身体的な麻痺と、精神分裂症という診断。2年間に及ぶショック治療が症状を更に悪化させ、レニーの人生を変えてしまう。楽しかった家庭は崩れ去り、父は母に暴力をふるうようになり、家族を去った。だがレニーの唯一の救いは、息子ジョナサンを授かったこと。誰にも侵す事のできないレニーとの強すぎる絆は、時として子供の心を傷つけ、やがてジョナサンもその“個”を喪失するに至る。診断名は、離人症。精神病院への入退院を繰り返す母、里親から受ける身体的虐待、子育て放棄に遭遇し、ジョナサン自身も、心と体の分離という苦悩を味わうようになるのだった。肉体と精神のバランスまで失い、音楽や映画という想像の世界へ現実逃避することでしか折り合いを付けられなくなるジョナサン。こうして彼は、次第に地元のアンダーグラウンド・ムービーの世界や舞台ミュージカル、さらにはオルタナティブ・ゲイ・カルチャーの世界に没頭していく。全ては循環し自分に還ってくるというが、ジョナサンは家族の呪縛を断ち切れるのだろうか。自分の身を守るために、母親と距離をおくべく、ジョナサンは憧れたニューヨークへ逃げるように移り住む。そこでボーイフレンドのデヴィッドと安住の地を築き、B級ホラー、ミュージカル、ゲイ・カルチャーに夢中になりながら心の自由を獲得する。それはジョナサンにとって、初めての喜びだった。その頃、リチウムの過剰摂取により症状が悪化した母レニーとの絆は、離れて暮らすもののさらに深まっていき、ジョナサンはあらゆる犠牲、哀れみを強いられる。ある日、ジョナサンは母親が精神病治療に使われるリチウムの中毒に陥ったという報せを受け、ニューヨークからテキサスへ帰還する。ボーイフレンドとの穏やかな日々を捨て、母親を引き取ることにした瞬間から、愛しくも忌まわしい記憶へ再び戻ることになったのだった。かつてモデルとして写真におさめられた美しい面影は消え去り、精神のバランスを崩し、一時も目を離すことができない母親に付きっきりの日々。そんな中で、梅雨の季節の突然の陽光のように訪れる平穏な時間と続く苦悩、そして献身的に支えるBFの痛ましいまでの愛が重なり合い、母と息子は互いに傷つきあい、すれ違いながらも前進する。

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2005年9月下旬号

劇場公開映画批評:ターネーション