“昭和”と呼ばれていた時代。大田明(鈴木達也)は不思議なことに興味がいっぱいの小学4年生。街に興行にやって来た「見せ物小屋」にも興味津々、客寄せの口上を聞き、やっと手にしたチラシに書かれた演し物「狼少女」が見たくてしょうがない。しかし、学校や親からも見せ物小屋に近づく事は禁止されている。そんな頃、明のクラスに都会の香りに満ちた転校生、手塚留美子(大野真緒)がやってくる。頭も良くて容姿端麗でオシャレ、あっという間にクラスメイトから一目置かれる存在になり、明はちょっと眩しい思いで眺めていた。クラスには、家庭が貧しいことでいじめられている小室秀子(増田怜奈)がいた。いつしか秀子は、見世物小屋の演し物「狼少女」だと噂が広まり、ガキ大将の光一たちから執拗に追い回されるが、ひょんなことから明と留美子がそれを助けることになった。この事件をきっかけに明・留美子・秀子は交流を深めていく。いじめられっ子だった秀子にとって、初めて出来た友達との楽しい日々が流れる。明は少し大人びてみえる留美子に、初めての恋心が芽生えていった。そんなある日、明の母・未沙(大塚寧々)は、手芸店の社長(西岡徳馬)と出会う。未沙が得意とする手編みの腕が見込まれて、手芸店で講師として働くことになった。専業主婦だった母が、頻繁にしかも楽しそうに出かけている。明にはそんな母が浮かれているようにしか見えない。しかも、数日後の夜、父・創(利重剛)と母が離婚について話し合っているのを盗み聞きしてしまう。留美子のこと・両親の不安が絡まって明の小さな胸は複雑に揺れる。同時に見せ物小屋への強い興味は抑えることができないほど高まっていった。留美子は留美子で、ガキ大将の光一たちへ仕返しを企てる。その執念に明は子供ながらに不安を感じ、止めようとしたが、留美子は聞く耳を持たなかった。そして、作戦は見事に成功するが、光一たちにケガをさせてしまう。このことは学校でも問題となり、気まずくなった3人の歯車は、すでに噛み合わなくなっていた。さらにその夜、父親にひどく叱られた明は、ひとりで家を飛び出す。向かった先は、街外れの見世物小屋。大人の目をかいくぐり、明が入り込んだ見せ物小屋には火噴き男や、口が大きく裂けた女、タコ女にろくろ首が次々と登場する。初めて見る世界で、意識が遠のき出した明の前に、ついに狼少女が入れられた檻が現れた。だがその正体は……。