ニューヨーク。レナ(マリア・シュラーダー)は、ファッション関係のセットデザイナーとして日々忙しく働いていたが、ここ数日トラブル続きだった。故郷ドイツでは祖父の経営するチョコレート工場が放火される事件が起こったばかりで、急いでドイツに帰ったレナは母親を伴いアメリカに戻っていた。しかし母の誕生日、恋人のカメラマン、ウィン(ジェフリー・ライト)と仕事のことで口論となり、レナは撮影現場から飛び出してしまう。気を取り直して母の泊まるホテルを訪ねたとき、廊下で瀕死の老婦人を発見する。彼女に付き添って救急車で病院に向かったレナは、そこで、老婦人の息子デイビッド(ダニー・レヴィ)と出会う。救護の甲斐なく、間もなく息を引き取った老婦人に動揺したレナは、初対面にもかかわらず、思わずデイビッドの胸へ飛び込んでしまう。自然と惹かれあってゆくふたりだが、やがて彼らの思いもよらぬ因縁が明らかとなる。そして同時にそれは、ナチス政権下を舞台にした一族の封印された闇の歴史をも暴き出していくことになる。