元プリマドンナのミリアム(アレッサンドラ・マルティネス)は、ダンスのパートナーだった夫ローラン(ローラン・イレール)に去られた心の痛手に苦しんでいた。最愛の息子セルジュ(アルテュール・シェソン)と共に、愛の記憶が眠る思い出の地、ヴェネチアを再訪したミリアムは、真実を忌み嫌う贋作画家のピエール(ピエール・アルディティ)と出会う。新たな愛に胸をときめかせ、再び生きる喜びを手に入れたかに見えた矢先、ミリアムに不幸が襲いかかる。海での不慮の事故が、ピエールとセルジュの命を奪い去ってしまったのだ。すべての愛を一瞬にして失い、失意の淵に立ちすくむ彼女は、セルジュが死の直前まで撮影していたビデオカメラの映像の記録をたどって旅に出る。だが旅の途中、うっかり空港でうたた寝してしまった彼女は、パスポートと共にビデオカメラを何者かに盗まれてしまう。そのカメラを偶然故買商から買ったのは、ベルギー出身の未来学の教授マルク(マルク・オローニュ)だった。その中のビデオテープに映っていたミリアムの姿に心を動かされたマルクは、彼女のゆくえを探す旅に出る。こうしてビデオテープは無事ミリアムのもとに届けられ、彼女は大きな愛の再生と癒しを手に入れるのだった。