1864年、南フランスのトゥールズで名門ロートレック家の長男が産まれた。画家ロートレックの誕生である。アンリと名付けられたその子はすくすくと育つが、15歳のときの骨折が原因で、足の成長が止まってしまう。アンリ(レジス・ロワイエ)はやがて好きな絵の才能を伸ばすため、パリのアトリエで学びはじめる。やがてモンマルトルのキャバレー、ムーラン・ルージュに通いつめるようになり、尊敬するドガ(ヴィクトール・ガリヴィエ)にも認められてますます絵にのめりこむ。ある日、アンリは行き付けのバーで激しく口論する女性を見かける。彼女こそルノワール、ドガなどのモデルをつとめ、自らも絵筆をとるシュザンヌ(エルザ・ジルベルシュタイン)だった。彼女はのちの画家ユトリロを私生児として産み、貧しい生活に耐えていた。アンリとシュザンヌの激しい恋が始まる。そんな中でアンリたちが出会ったのがヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(カレル・ヴァンジェールオエ)だった。アンリはゴッホの才能を絶賛、だがゴッホは成功を待たず自殺してしまう。アンリとシュザンヌもやがて仲たがいするようになり、彼女はアンリの元を去る。ますます酒と女に溺れるようになったアンリは梅毒とアル中に冒される。母の住む城に戻ったアンリは美しい海の夢を見ながら、36年の葡萄酒色の人生の幕を閉じたのだった。