三津子、信子、圭子、春枝の四人は四つ葉グループを作って親交をつづける仲のいい四人娘だった。三津子の母政子は十数年前、事情があって夫章三と離婚し三津子と康一の二人を女手一つで育てあげたが、その後、妻に死別した西山氏の援助をうけ、立派な洋裁店を開いている。世間は二人の仲をいろいろと噂し、三津子も母の気持を誤解して悩んだ。信子は明るい性格の娘で、兄の信平が三津子を愛していながら、内気なため言いだせないのを応援してやる。圭子は不幸にも胸を病み、三人の友情に慰められつつ淋しく療養生活を送っていた。春枝は家庭に恵まれず、キャバレーの女給として、貧しい人生の路を歩いていたが、グループのブローチをいつも胸から離さなかった。三津子の父章三は、愛するがゆえに妻子と別れねばならぬ事情があってから十数年、今は一人で小さな呑み屋をやりながら、この世の片隅にこっそり一人で生きていた。三津子は信子の助けをえて、長い間さがしていた章三の居どころをつきとめた。しかし若い彼女の前に横たわるのは、大人の世界の複雑な現実であった。三津子が母と西山の仲をあれこれと推測して悩んでいるとき、兄の康一は妹の悩みに同情しながらも、母の自由な意志を尊重した。そういう兄が三津子には自分のことしか考えない利己主義者に思えるのであった。こうして若い四人の娘たちに、むつかしい大人の世界が開かれて行くのであった。