東西統一直後のベルリン、ドロップアウトした者の吹き溜まり、クロイツベルグ。ジャンキーやパンクスたちを前に道化師のフィルレファンツ(ヴォルフラム・ハーク)が粉屋の青年に恋をした美しい王子のお伽話“プリンス・イン・ヘル”を物語る。--アンチ・ヘロインのキャンペーンを続けるゲイのカップル、ステファン(ステファン・ラールマン)とヨッケル(ミハエル・シュトック)。気持ちがすれ違いはじめた二人の間に現われたのがバイセクシャルの青年ミーヒャ(アンドレアス・シュタードラー)。ザーシャとザビーネの母子と森のなかで共同生活をする彼は、ヨッケルに誘われるままにヘロインを与える。ステファンはヘロインにのめり込み、二人は次第に危険を犯すようになる。そんな彼らが住むコミューンに“死の予言”を下すフィルレファンツ。ほどなくネオ・ナチのグループが襲われ入院したヨッケルは麻薬の禁断症状のため、病院を脱走、麻薬の売人のインゴルフ(ハリー・ベア)のもとを訪れた。その後ミーヒャはインゴルフが殺されているのを発見する。二人の行末には破滅が待っていた……ラスト、首を吊られた死体とその脱糞を食らう犬の姿が映される。