英国の歴史に名高きヘンリー八世の栄華物語。美しきアン・ボレンが華やかにまた悲しき一生。王の寵臣ノーフォーク公の姪なるアンは計らずも王の御目にとまった。以来王よりしばしば思慕の情を打ち明けられるが、この事が原因となり恋人ノリス卿より誤解され、疎んじられたために遂に王の妃となることを承諾した。しかしアンが王妃となるためには王妃カザリンは罪なくして王女メアリーと共に位を追われた。しかしアンの栄華も長くはなかった。世継ぎたるべき男子を生む可かりしアンは却って女子を生んだ。王の失望は大きかった。同時に女官ジョアンがアンの強敵として現れた。王はアンを疎んじると共に次第にジョアンに魂を奪われていった。アンとノリスとの間を王に誹謗する物もあった。王の怒りが下った。ロンドン塔の奥深く、尽きぬ恨みを残しつつ、哀れ佳人アンは断頭台の露と消えた。