セシリア(イングリッド・チューリン)は大病院の急患待合室に夫に連れられてきた。妊娠三カ月。突然、出血が始まったのだ。担架に乗せられて去る前、セシリアは夫のハリーに絶望的な目を投げた。“あなたは、ほんとは赤ちゃんなんかほしくないんだわ”。セシリアは流産し、昏睡状態のまま、E病室に移された。二人の患者と同室だ。肥って陽気なスティナ(エヴァ・ダールベック)と、まだ少女っぽいヒョルディス(ビビ・アンデショーン)である。--セシリアは高熱にうかされ、看護婦のブリタにウワ言をいいつづけた。過去の夫との生活への不満、夫の愛への呪いの言葉に満ちていた。--スティナは痛みにもだえるセシリアをやさしく世話した。彼女は子供を生みたくてたまらない。訪ねてきた小市民的な夫と、子供を育てることを楽しく夢見て話しあった。セシリアは見舞いにきたハリーを冷たくあしらった。“結婚したのが間違いだった”。追い返すようにした。ヒョルディスは子供を生みたくなかった。赤ん坊の泣声や姿がいやだった。田舎からやくざな男と駈落し、妊娠して捨てられたのだ。母からは帰ってくるなと言われた。婦長は父なし児のための設備があり、国が面倒を見るからと更生をすすめるが、ヒョルディスはそんなつもりになれなかった。その夜、スティナに陣痛がやってきた。彼女は満足げに産室へ向った。眠れぬヒョルディスは自分の身上をセシリアに話し続けた。朝、スティナが帰ってきた時、彼女の顔は青白く、すべてを失った表情であった。激しすぎた陣痛が子供を失なわせたのだ。ヒョルディスが与えようとしたコップの水をたたき落した。ヒョルディスはそういうスティナを見て、出産を決意した。ブリタに励まされ、母へ電話した。母は許してい、帰郷をすすめた。ヒョルディスはブリタの胸で泣いた。彼女が病院を出る時、セシリアにはハリーの妹が訪ねてきていた。セシリアももう一度夫と話し合おうと考えていた。