一八七〇年、アレクサンドル二世治下のロシヤ王朝。元近衛大佐オガレフの陰謀によるダッタン人の反乱が勃発した。すでに皇帝の弟ウラジミール大公のいるイルクーツクは孤立無援。電話も不通のため、皇帝は大公への連絡密使として近衛大尉ミシェル・ストロゴフ(クルト・ユルゲンス)を選び、彼に密書を託した。ミシェルは商人に変装、父を尋ねてシベリアへ単身向うという美しいナディア(ジュヌヴィエーヴ・パージュ)を妻に見せかけ、まず汽車でニジニノヴゴロドに行き、そこから船でベレムに向った。彼の行手にはオガレフの鋭い目が光っている。ベレムからウラル越えにかかったミシェルは漸くイルティシュ河の畔についたが、ここでナディアが倒れたので途中知り合ったフランス人の従軍記者二人に彼女を預け一人旅を続けた。オムスクでは母のマルファに会ったが素知らぬ顔で通りすぎた。しかし彼の後をつけて来たオガレフの手下、ジプシー女のサンガールは、マルファの表情からミシェルを密使と睨んだ。しかもミシェルは、間もなくダッタン人に怪しまれ捕虜収容所に入れられる。が、そこで、これも捕えられたナディアと再会することができた。しかも一方ではサンガールがオムスクでの一件をオガレフに報告、マルファを捕え収容所に入れた。オガレフはミシェルの眼前でマルファに拷問をかけ、たまりかねたミシェルに身分を明かさせ密書を没収した。その上ダッタン人の祭の日、ミシェルは両眼を焼きつぶされる宣告を受けたが、偶然にも女奴隷の手で助かり、さらに幸運にもフランス人記者と会って一緒にアンガラ河を筏でイルクーツクへと下った。一方、そのころオガレフは密使に化けて、大公の前に現われ、ロシヤ軍を破滅に導く偽りの報告を伝えていた。そこへ突如姿を現わしたミシェルは、オガレフの陰謀をあばき、これを倒して真の密使であると明した。ミシェルは更に、大船隊をもって攻撃してくるダッタン人を、石油で焼き払い、一騎打の末に大首長をも倒した。反乱は終り、ミシェルはシベリアのコサック連隊の大佐に任ぜられ、ナディアの愛をも獲得した。