名の知れたギャングの父を持ち、幼い頃に警察の襲撃で家庭を破壊されたシモン(ジャック・デュトロン)は、父の意志を継ぎ、泥棒になっていた。ある盗みで刑務所暮しをしていた彼は、ある日脱走に成功し、父の仲間でただ一人生き残っていた叔父(ジャック・ヴィルレ)の元を訪れ、隠れ場所として農場を提供してもらう。一方フランソワーズ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、友人の写真家(ルナール・ル・コック)と共謀して、ゆすりを目的とした高級コールガールという悪どい金儲けをしていた。再び盗みを働いたシモンは、その逃亡のためのパスポートなどを用意してきた叔父と郊外の農場で会った。彼は、同じ逃亡の身のフランソワーズを連れており、シモンに彼女の素性を説明した。大物相手に売春をやり、その現場を写真に撮りゆすっている悪い女だという叔父の説明を聞きながら、シモンはなせか、この無愛相な女に興味を抱いた。警察の手は、この農場にも伸び、川の近くで釣りをしていたシモンとフランソワーズも襲撃を受けるが、寸前のところをオートバイで逃げ去った。海岸でボートを盗んだシモンは、フランソワーズを連れて逃げ続けた。男性に見向きもしないフランソワーズは、やがてシモンにその原因ともなった過去の苦い経験を語った。平和に夫と共にドラッグ・ストアを経営していた彼女は、ある夜、麻薬を盗みに押し入った若者たちに強姦され、その時の夫の冷たい態度で、すべての男性に失望したのだった。二人はいつの間にかラジオで放送される程の犯罪者となっており、いよいよ逃げるのが困難になっていた。フランソワーズは子供の頃からチェロを弾くことを愛したが、悪夢を見る癖があり、よくチェロが燃える夢を見ては泣いていた。二人は遂にルアーブルを出発しケべックへ向かった。そこは、アメリカに近く、ニューヨークには知り合いもいるとシモンは彼女に告げた。愛することを忘れていた二人は、お互いに求め合っていることに気づいていった。ケベックに到着し、追手をうまくかわしていよいよニューヨークへ向かうという時、ヒッチハイクで乗ったトラックの中で、フランソワーズは夢を見た。ニューヨークのあるナイトクラブでチェロを弾く彼女とピアノを弾くシモンがお互いに微笑み合う姿を……。初めて見る安らかな夢。やがてトラックの前方にニューヨークの摩天楼がせまってくるのだった。