男性      女性

※各情報を公開しているユーザーの方のみ検索可能です。

  • 映像の世界で働こう! 映像業界スクールガイド2016

  • 映像業界を目指すあなたに贈る、毎年恒例のキネマ旬報(8月上旬号:7月20日発売)とKINENOTEの合同特集。今年は業界に足を踏み入れたニューフェイスの監督による映画作品をご紹介。そして、映像業界スクールガイド最新版も掲載。あなたも夢を実現する道に踏み出そう!

  • E.T.
  • ふたりで別の歌を
  • 動画再生
  • 「ふたりで別の歌を」
  • 監督:内田佑季
    桜美林大学 2012年度(映画専修3期生)卒業研究制作作品 社団法人日本映画テレビ技術協会主催 第31回そっせい祭〈現:青い翼大賞〉グランプリ:最優秀作品賞受賞作品
  • 独裁者、古賀。動画再生
  • 「独裁者、古賀。」 ※劇場公開中のため、予告篇になります。
  • 監督・脚本:飯塚俊光(ニューシネマワークショップ出身)
  • 伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2012中編の部大賞受賞/高崎映画祭2013「若手監督たちの現在」招待/福岡インディペンデント映画祭2014 準グランプリ受賞/PFFアワード2014 エンタテインメント賞受賞/ムンバイ ジャパンフィルムフェスティバル・インド招待
  • 7月18日(土)~31日(金)まで新宿K’s cinemaにてモーニングショー
  • 安川有果
  • 安川有果
    やすかわゆか
  • 1986年生まれ。主な監督作品に「カノジョは大丈夫」(10)「激写!カジレナ熱愛中!」(14)などがある。「Dressing Up」(12/出演:祷キララ・鈴木卓爾)が8月中旬より、シアター・イメージフォーラムにてレイトショー公開。

お互い頑張りましょう

私も映画学校出身だが今回紹介する五作品を見ても「うわー懐かしい」という感想は一切持たなかった。私も卒業するときに卒業制作と呼ばれるものを作ったが、恥ずかしいほど切実な気持ちを主人公に投影して作っていた為、見返すのにはだいぶ勇気がいる。しかし今回紹介する作品はすべて、技術的にも、劇場公開されている作品と遜色がないほどレベルが高い。時間と労力を割いて丁寧に撮影されているし、題材に対して冷静な距離があって、なんだかとても大人っぽい。これから活躍していくであろう新人監督達の作品に対し、私が感じたことを書いていく。

「金色の野にさよなら」「ふたりで別の歌を」は、序盤で肉親が急死することにより物語が展開していくことや、フィルムで撮影されていることなど共通項が多い。主人公の少女と母親の心情や葛藤、現在と過去が行き交う物語をシンプルに45分で語りきった構成力に、監督しての力量を強く感じた。完成度は高いが、どちらも破綻なく綺麗すぎる感があり、あと一歩何かがほしいと思った。題材に対する作者の思い入れのようなものがほとんど伝わってこないのである。なぜこの物語を今作る必要があったのだろう?

「ふたり、ふたつの再見」と「独裁者、古賀。」もとてもよく似ている。サブカル趣味(前者はカメラ、後者は落語)を持つうだつが上がらない男子と自分の趣味に興味を示してくれる女子(ここで作者が男性であることがはっきりしてしまう!)との幸福なひと時と別れの物語。

しかし、映画の面白さは筋ではないということがこの2本を比べればはっきりする。前者の主人公には枷がない。女子との間を邪魔をする他者が存在しない。そういう物語的な仕掛けを全く作ろうしないのは、無理に葛藤を作り出すという物語の嘘に対する懐疑なのだろうか?だが嘘をつく勇気がなければ、映画を作っていないのと同じことになってしまうのではないだろうか。

後者はどうか。貪欲に最後まで映画の至るところに様々な嘘=仕掛けを用意する。さらに素晴らしいのは、いじめられている主人公の男の子が、他の場所ではその感情を一切引きずっていないように見えるところだ。演じる清水尚弥の表情が素晴らしい。非常にユーモアがあり、作者の哲学や個性を隠さずに出している。どの役者も自己の存在を把握して生き生きとを演じているので見ていてとても楽しかった。

そして、「侍心-SAMURAI HEART-」という企画には嘘をつこうという意志を強く感じて、興味深くみた。だが、嘘にはありきたりなイメージを突き抜ける力がほしい。

似た構造の作品が続いたことは、決して偶然ではないように思う。私が面白いと思う映画は、誰かの強いモチベーションを発端にして作られた、オリジナリティ溢れる作品だ。私ももっとその理想に近づきたい。お互い頑張りましょう。

  • 大木萠
  • 大木萠
    おおきもえ
  • 1986年生まれ。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、ビデオジャーナリストを目指すも挫折しADを経て、井土紀州監督の「犀の角」(09)の助監督に。14年、脚本家・阿佐谷隆輔と組んだ「花火思想」を公開。

映画という拳銃をどこに向けるのか?

私はマスコミの学校に通っていたが、そこで教わったことは実際の現場ではひとつも役に立たなかった。私はそこで、「本当に撮るべきものや進むべき道は誰かから教わることではない」ということを教わった。そして映画制作とは、機材の種類や撮影方法、シナリオの書き方なぞは実は二の次で、重要なのは“どう”撮るかではなく、“何を”撮り、“誰に”観せるかなのだ。 拝見した5本の作品について感想を述べたいと思う。

「ふたり、ふたつの再見」。台詞が多い上に陳腐。なぜ中国なのかは考えたら負けか。二人が縦に並んで歩いているバックショットは良かった。もうこれしかない!というカットをもっと観たかった。

「侍心―SAMURAI HEART―」。冒頭は無駄に堂々としていて笑った。安い台詞や感動に走らず、最後までバカバカしさを追求してほしかった。

「独裁者、古賀。」。良かった。伝えたいことの本質を何か別のテーマ或いは全く別の言葉に代えてスクリーンに託すことが脚本の真髄なのだと再認識させられた。

「金色の野にさよなら」。空気感と物語の切り取り方は好きだが、綺麗すぎてあまり記憶に残らないのが残念。短篇ならではの何かが欲しかった。

「ふたりで別の歌を」。役者も演出もよくできていて物語も面白い、もはや商業レベルだが、いまひとつ人間味に欠ける。

五作品の共通点は映画の学校に通った人が作ったということ、全てには当てはまらないが台詞が陳腐だということ、上手に撮れているということ。しかし美しく撮れているばかりで、その根底にあるはずの監督の魂に触れることは残念ながらできないのである。つまり、学校に行こうと行かなかろうと技術やお金があろうとなかろうと、結局は他の何を捨てても撮りたいものがある人間だけが最終的に人の心を動かす作品を生み出すことができることは間違いないようだ。そしてそれは映画に限らずあらゆる表現においての大前提であると言える。まあ、他の何を捨ててもなんて暑苦しい根性論はどうやら流行遅れらしく、私なんぞはどんどん路頭に迷いこむばかりである。

いまはカメラを構えれば、それこそ携帯電話ひとつあれば誰でも映画監督になれる時代で、作るどころか世界に向けて発信することも可能だ。しかしそんな時代だからこそ何を撮るべきなのか、その先に何を望むのかをより明確にしなくてはならない。「映画という拳銃をどこに向けるのか?」を考え続けることが、私を含め彼らの一番の課題なのである。

キネマ旬報
  • KINEJUN ONLINE SHOPで買う
  • Amazonで買う
  • NEW FACE! 5人の監督の作品&レビュー
  • 映像を学ぶ!最新説明会情報入りスクールガイド

内田佑季(桜美林大学卒業)

  • 内田佑季
  • 生年月日:1991年3月30日
    出身地:千葉県千葉市
  • この映画は、私の友人の実話に基づくお話です。それに加え、卒業制作という名目で作らせて頂く以上、4年間の勉強の成果を見せねば、と、最初は誠意と意気込みだけで突き進んでいました。しかし制作している内に、これは誰もが経験しうる、人間の成長過程のお話だと気付き、まさしく成長過程の真っ只中にいる私は今、この作品でどんなことが描けるだろう、と考えながら撮りました。私の人生にとって、かけがえのない作品です。
  • はじめて“意識的に”動画撮影した被写体は?
  • 男と女
  • 学校で最も衝撃だった授業は?
  • 映画専修の授業ではありませんが、性の人類学という授業です。
  • 映画関連の知識・技術と友達以外に学校で手に入れたものは?
  • 大学の仲間たちと撮った作品です。
  • もしあなたが教える立場になるとしたら、映画に関して何を教えたいですか?
  • 人を見続けることと、考え続けることです。
  • “死ぬまで”映画を撮り続けたいですか?
  • 先のことはまだ、考えられません。
  • 100年後にこの記事を読んだ読者に一言。
  • お暇があったら、「ふたりで別の歌を」観てみてください。

中川寛崇(城西国際大学大学院ビジネスデザイン専攻ビジネスデザイン科在学中)

  • 中川寛崇
  • 生年月日:1992年4月29日
    出身地:愛知県豊橋市
  • 本作は城西国際大学メディア学部に入学して初の実習作品です。自主制作では中々難しいセットを駆使した本格的な撮影は、作品に深みと新しい可能性を実現させてくれました。剣道という共通点を持つ端的な侍と、現代に生きる若者との乖離が本作でのポイントです。今回初挑戦の「雪降らし」も魅力の一つです。シナリオに客観的な推敲を重ね、それらの具現化に仲間達と切磋琢磨した非常に思い入れのある作品です。楽しんでご覧下さい!
  • はじめて“意識的に”動画撮影した被写体は?
  • 学校で最も衝撃だった授業は?
  • 日活撮影実習
  • 映画関連の知識・技術と友達以外に学校で手に入れたものは?
  • 養生テープ
  • もしあなたが教える立場になるとしたら、映画に関して何を教えたいですか?
  • 楽しさ
  • “死ぬまで”映画を撮り続けたいですか?
  • はい
  • 100年後にこの記事を読んだ読者に一言。
  • 初めまして、中川と申します。いつの日か、自分の作品の持つメッセージが社会に寄与されることを望み日々精進しています。そんな僕が思う映画の魅力は、作品に込められる価値を観客と共有できる事にあると思います。100年後、さすがに僕は生きていないと思いますが、後世も愛される作品を残しますので、みなさんどうぞよろしくお願い致します。

富田洋史(東京工芸大学卒業生)

  • 富田洋史
  • 生年月日:1991年7月25日
    出身地:熊本県天草市
  • この作品は卒業制作として撮りました。最初は映画祭などに受ける作品を企画しようと思っていましたが、学生最後の作品を制作するのに、そんな自分がつまらなく感じ、今の自分が本当にやりたい物を撮りました。本作の主人公は、やりたい事や夢があるわけではありません。ただ、何となくでもいいから目の前の大切な事を見つけて欲しく制作しました。私自身まだまだ未熟です。これからも学び続けます。
  • はじめて“意識的に”動画撮影した被写体は?
  • 人です。
  • 学校で最も衝撃だった授業は?
  • 映像制作Ⅰ.Ⅱ(実習)。はじめての経験を沢山しました。
  • 映画関連の知識・技術と友達以外に学校で手に入れたものは?
  • 心構えと忍耐力・コネクション
  • もしあなたが教える立場になるとしたら、映画に関して何を教えたいですか?
  • 映画が持つ力
  • “死ぬまで”映画を撮り続けたいですか?
  • もちろんです。死んでからも撮り続けたいです。
  • 100年後にこの記事を読んだ読者に一言。
  • 読んで頂きありがとうございます。名前と顔を覚えてもらえたら嬉しいです。

伊尻悠希(日本大学芸術学部映画学科 監督コース4年)

  • 伊尻悠希
  • 生年月日:1993年5月31日
    出身地:福岡県
  • 平成26年度制作作品「金色の野にさよなら」をご鑑賞いただき心からありがとうございます。この作品は16ミリフィルムで撮影されており、4人の役者と15人のスタッフと共に脚本執筆から完成まで約300日もの時間を費やしました。一人で映画は作れない、この言葉が身に沁みた一年間です。今年度も私たち映画学科は数多くの作品を制作します。みなさまに作品を観ていただける瞬間を楽しみに思う気持でいっぱいです。
  • はじめて“意識的に”動画撮影した被写体は?
  • 小学生の時、父のビデオカメラをこっそり借りて公園で撮影しました。その後とても怒られました。
  • “人生の一本”といえる映画は?
  • 22年間の中では、スティーブン・ダルドリー監督の「リトル・ダンサー」です。
  • 学校で最も衝撃だった授業は?
  • 地下アイドルが教室にやって来る授業です。
  • 映画関連の知識・技術と友達以外に学校で手に入れたものは?
  • 撮影現場に行ける機会だと思います。
  • もしあなたが教える立場になるとしたら、映画に関して何を教えたいですか?
  • 映画の食わず嫌いは勿体ないということです。
  • “死ぬまで”映画を撮り続けたいですか?
  • そう考えるとわくわくします。
  • 100年後にこの記事を読んだ読者に一言。
  • フィルムはなんと100年以上も保存できるそうです。

飯塚俊光 (ニューシネマワークショップ出身)

  • 飯塚俊光
  • 生年月日:1981年1月26日
    出身地:神奈川県相模原市
  • 強い人間なんてどこにもいないんじゃないかなと思います。みんな、苦しんで悩んで、でも、なんとかそこから抜けだそうと一歩踏み出して、そこでまた、苦しんで悩んで、また一歩踏み出して。 そういうことの繰り返しなんだと思います。「独裁者、古賀。」は一歩踏み出せずにいた人間が、 あることをきっかけに、一歩も二歩も進もうとします。 学校、家族、恋、立ち向かっていきます。 一歩踏み出せずにいる人に是非見て欲しい映画です。
  • はじめて“意識的に”動画撮影した被写体は?
  • 近所の友達とハンディカムで遊んでお互いを撮影しました。
  • 学校で最も衝撃だった授業は?
  • シナリオ、作品の講師による厳しくも愛ある講評
  • 映画関連の知識・技術と友達以外に学校で手に入れたものは?
  • 映画にかかわらず作品を作る勇気と覚悟の大切さ
  • もしあなたが教える立場になるとしたら、映画に関して何を教えたいですか?
  • 同じ場所にとどまらず、新しい取り組みをして作り続けることが大事ということ。
  • “死ぬまで”映画を撮り続けたいですか?
  • “死ぬまで”とは思っていないです。死ぬ前くらいゆっくりしていたい。
  • 100年後にこの記事を読んだ読者に一言。
  • きみが、ぼくの名前を知っていたら、ぼくはとっても幸せです。